「―が~を…する」という文の「~を」の部分に当たる語を目的語(Object)と呼ぶ。目的語になるものは、名詞・代名詞のほか、名詞相当語句に限られる。

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目的語になる名詞相当語句の例

(1) 名詞

  • My father reads several newspapers.
    • 私の父は数誌の新聞を読む。

(2) 代名詞

  • We all hate him.
    • 僕たちは全員彼のことが嫌いだ。(代名詞が目的語になると目的格が使われる)

(3) 形容詞

  • The young should respect the old.
    • 若者は年長者を敬うべきだ。(通常<the+形容詞>のかたちで用いられる)

(4) 分詞

  • [要検討]If we fear the unknown then surely we fear ourselves.
    • 未知のものを恐れるなら、それは自分自身を恐れることに他ならぬ。(通常<the + 分詞>のかたちで用いられる)

(5) 不定詞

  • I hope to see you again.
    • またお会いできればと思います。(別れのあいさつ)

(6) 動名詞

  • Would you mind closing the window?
    • 窓を閉めていただけますでしょうか。

(7) 名詞句

  • My brother knows how to use a gun.
    • 私の兄は銃の使い方を知っている。

(8) 名詞節

  • I thought that he was a true friend.
    • 彼は真の友達だと思っていたのだが。

(9) 引用語句

  • The sign says, "Keep out."
    • その札には「立ち入り禁止」と書いてある。

目的語の種類

目的語は、構造上、次のような種類に分類できる。

(1) 直接目的語と間接目的語

他動詞の中には、「―が~を…する」の「~を」の目的語のほかに、「~に」の意味を持つもう一つの目的語をとるものがある。こうした他動詞は二重目的語動詞(Double-Object Verb)と呼ばれる。

「~を」にあたる目的語を直接目的語(Direct Verb)と言う。

  • John gave me the book.
    • ジョンは私にその本をくれた。(下線部は直接目的語)

「~に」にあたる目的語を間接目的語(Indirect Verb)と言う。

  • John gave me the book.
    • ジョンは私にその本をくれた。(破線部は間接目的語)

(2) 保留目的語

目的語が2つ存在する能動態の文を受動態に書き換えるとき、主語や前置詞句にならず元の位置に取り残される目的語を保留目的語(Retained Object)と呼ぶ。下記の能動態の文は、間接目的語の me と直接目的語の the book のそれぞれを主語として2通りの受動態に書換え可能である。

  • John gave me the book.
    • ジョンは私にその本をくれた。
  • I was given the book by John.
    • 私はジョンからその本をもらった。(the bookは保留目的語)
  • The book was given me by John.
    • その本はジョンから私に与えられた。(meは保留目的語)

(3) 相互目的語

相互代名詞のeach otherとone anotherが目的語になるとき、相互目的語(Reciprocal Object)と呼ばれることがある。

  • They respect each other.
    • 彼らはお互いを敬い合っている。

(4) 再帰目的語

目的語は主語の動作を受ける対象を表すので主語とは異なるものになるのが普通だが、他動詞の中には主語自体を目的語にとるものがある。そのような場合、再帰代名詞が使われる。再帰代名詞が目的語になるとき、再帰目的語(Reflexsive Object)と呼ばれる。

  • Jane and Norah seated themselves on the sofa.
    • ジェーンとノラはソファに腰掛けた。
  • History repeats itself.
    • 歴史は繰り返す。

(5) 形式目的語

第5文型<SVOC>において、目的語が長いためitを形式的に置くことで代用し、後ろの目的語を受けさせることがある。このとき、itを形式目的語(Formal Object)と呼び、後ろの目的語を真目的語(Real Object)と呼ぶ。真目的語は不定詞・動名詞・名詞節などの名詞相当語句である。

  • Bob found it difficult to accept her explanation.
    • ボブにとって彼女の説明は受け入れがたいものだった。(真目的語は不定詞が導く名詞句)
  • You will find it very hard going there alone.
    • そこに一人で行くのはとても大変ですよ。(真目的語は動名詞が導く名詞句)

We thought it probable that the Labour Party would agree to the bill.

我々は、労働党がその法案に賛同するだろうと思った。(真目的語は名詞節)

Teachers often take it for granted that students study diligently.

教師は、学生は真面目に勉強して当然と思いがちだ。(真目的語は名詞節)

(6) 同族目的語

自動詞として働く動詞が、その動詞の名詞形や類似した意味の名詞を目的語とする他動詞として用いられることがある。こうした目的語は同族目的語(Cognate Object)と呼ばれる。同族目的語を用いた表現は文語調とされ、口語では副詞語句で表現されることが多い。

  • He laughed a bitter laugh.
  • = He laughed bitterly.
    • 彼は苦しげに笑った。
  • They fought a fierce battle.
  • = They fought fiercely.
    • 彼らは激しく争った。

ただし次のような同族目的語は副詞語句で書換え不可。

  • Jane sang a cheerful song.
    • ジェーンは陽気な歌を歌った。
  • ≠ Jane sang cheerfully.
    • ジェーンは陽気に歌った。

[FYI] 結果目的語

動詞の表す動作の結果として生じた目的語を結果目的語(Effective Object)と呼ぶ。次の2文を比較。

  • She painted the bench.
    • 彼女はそのベンチにペンキを塗った。( the bench は他動詞 paint の通常の目的語)
  • She painted an apple.
    • 彼女はリンゴ(の絵)を描いた。( an apple は他動詞 paint の動作の結果生み出された結果目的語)

結果目的語をとる他動詞として、bake, create, make, paint, produce, writeなどの製作動詞の他に、dig, light, eatなどがある。

  • She lit the lump.
    • 彼女はそのランプに火をともした。( the lump は他動詞 light の通常の目的語)
  • She lit a fire.
    • 彼女は火をつけた。( a fire は他動詞 light の動作の結果生み出された結果目的語)

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Last-modified: 2008-02-24 (日) 16:06:20