準動詞は、動詞を元に作られてはいるが動詞ではないので、それ自体が明確な時制を表すことはない。不定詞の単純形で表される動作や状態がいつ起きたのか(または、いつそうなのか)は、原則として文の述語動詞(V)で表される時制に一致するが、時にはVよりも未来のことを表す。不定詞の完了形は、Vよりも前の時を表すか、完了の意味を持つ。
不定詞の時制がVの時制と一致する †
- He seems to know something about it.
- = It seems that he knows something about it.
不定詞の時制がVの時制よりも未来の時を表す †
願望/期待/予定などを表す動詞につくと、不定詞はそれよりも未来のことを表す。
- I expect her to come later.
- = I expect that she will come later.
不定詞の完了形 †
文の述語動詞(V)よりも前の「時」を明確に示す必要があるときや、準動詞に完了のニュアンスを持たせたいときには準動詞を完了形にする。不定詞の完了形は、単純形は<to have+過去分詞>、受動形は<to have+been+過去分詞>の形で表す。
不定詞の完了形がVの時制よりも以前の時を表す †
- He is said to be an actor.
- = It is said that he is an actor.
- 彼は役者だそうだ。
- 不定詞to be an actorの表す「役者である」のがいつなのかは、Vの時制(現在)と一致。
- He is said to have been an actor when young.
- = It is said that he was an actor when young.
- 彼は若いころ役者だったそうだ。
- 不定詞to have been an actorの表す「役者である」のがいつなのかは、Vの時制(現在)より以前(過去)。
不定詞の完了形が完了の意味を表す †
- He is said to have been an actor since he was young.
- = It is said that he has been an actor since he was young.
- He is said to have been an actor.
- = It is said that he [was | has been] an actor.
- 彼は[役者だった|ずっと役者をしている]そうだ。
- この文の場合、不定詞の完了形が、Vの時制よりも以前の時(過去)を表すか、完了の意味を持つかは、文脈で判断する必要がある。
願望/意図/予定を表す動詞の過去形+不定詞の完了形 †
願望/意図/予定などを表す動詞の過去形とともに不定詞の完了形が使われると、実際には実現されなかった計画や予定を表す。
- I planned to have attended the meeting.
- I was to have met her there, but couldn't find her.
- 私はそこで彼女と会う予定だったが、彼女を見つけることができなかった。