分詞は形容詞的な性質を持っているため、名詞を修飾する(限定用法)という機能以外にも、補語になる機能がある。

分詞が補語になるということは、<SV+C(補語)>という第2文型と<SVO+C(補語)>という第5文型を作るということである。

SV+C(分詞)

一部の完全自動詞は、第2文型を取って<SV+C(分詞)>の形をとることがある。

Cに現在分詞を用いる場合

<SV+C(分詞)>において、SとCのあいだに能動の関係が成り立つとき、Cには現在分詞を用いる。

  • He came running.
    • 彼は走ってやってきた。
      • "He was running."(彼は走っていた)は<be+現在分詞>による進行形第1文型である。
  • The audience kept applauding long after the curtain came down.
    • カーテンが降りた後も観衆の拍手は鳴り止まなかった。
      • <keep ~ing>(~し続ける)の~ingは現在分詞で補語である。

Cに過去分詞を用いる場合

<SV+C(分詞)>において、SとCのあいだに受動の関係が成り立つとき、Cには過去分詞を用いる。

  • He was sitting surrounded by his grandchildren.
    • 彼は孫たちに囲まれて座っていた。
      • "He was surrounded by his grandchildren."(彼は孫たちに囲まれていた)は<be+過去分詞>による受動態である。

SVO+C(分詞)

知覚動詞や使役動詞などの中には、<SVO+C(分詞)>のかたちを取るものがある。Cに現在分詞と過去分詞のどちらを用いるかは、OとCのあいだの関係による。OとCのあいだに能動関係が成り立つときはCに現在分詞を、OとCのあいだに受動関係が成り立つときは過去分詞を用いる。

知覚動詞

  • He heard his mother calling his name.
    • 彼は、母親が彼の名前を呼んでいるのを聞いた。
      • his motherと、分詞の元になっている動詞callのあいだには、「母親が彼の名前を呼ぶ」という能動関係が成立している。
      • OとCのあいだの関係は、"Shis mother V(was) calling Ohis name"という第3文型と解釈することもできる。

Cに現在分詞を用いると、原則として<OがCの動作の一部を知覚する>という意味になる。Cには原形不定詞を用いることもできるが、その場合は<OがCの動作の一部始終を知覚する>という意味になる。このため、すぐに完結するような動作については原形不定詞を用いるのが一般的である。

  • I saw the boys dive into the water one after another.
    • 私は男の子たちが水の中に次々と飛び込むのを見た。

OとCのあいだに受動関係が成り立つとき、Cには過去分詞を用いる。

  • He heard his name called by his mother.
    • 彼は、母親に自分の名前が呼ばれているのを聞いた。
      • his nameと、分詞の元になっている動詞callのあいだには、「彼の名前が呼ばれる」という受動関係が成立している。
      • OとCのあいだの関係は、"Shis name V(was) called 副詞句by his mother"という、第3文型の能動態を受動態にしたものと解釈することもできる。
  • We often hear it said that practice makes perfect.
    • 習うより慣れろと言われるのをよく耳にする。
      • itは形式目的語。

使役動詞

使役動詞+O+現在分詞

このかたちは特にhaveにおいて多く見られる。Cには原形不定詞を用いることもできるが、Cに現在分詞を用いると、<Oに一時的にCさせておく>や<近い将来Oに当然Cさせる>という意味になる。

  • I won't have you saying such a thing about my father.
    • 父のことについて君にそんなことを言わせておくわけにはいかないぞ。
      • <I [won't | can't | wouldn't] have O ~ing>では「Oに~させるわけにはいかない」の意味になる。
  • This game will have you coming back for more!
    • このゲームは、あなたにより多くを求めに戻らせる!=このゲームはあなたを虜にする!

使役動詞+O+過去分詞

「OをCしてもらう」という使役の意味の他に、「OをCされる」という被害の意味を表す。

  • He had a decayed tooth pulled out yesterday.
    • 彼は昨日、虫歯を抜いてもらった。[使役]
  • It is time to get my car washed.
    • そろそろ洗車してもらう時期だ。[使役]
  • The East India Company made its presence felt in India in the 17th century.
    • 東インド会社は17世紀のインドで存在感を示した。[使役]
  • I had my fingers blown off in 'Nam.
    • 俺はベトナム戦争で指を吹っ飛ばされたのさ。[被害]
      • 'Namはベトナム(戦争)を指す口語表現。

make+oneself+過去分詞の表現

<make+oneself+過去分詞>のかたちには以下のような成句的な表現がある。

  • Roy could not make himself understood in Chinese.
    • ロイは中国語で(周囲の人々から)自分を理解してもらえなかった。=ロイは中国語で意思疎通ができなかった。
  • I couldn't make myself heard by my students because of so much noise.
    • うるさすぎて私の声は生徒たちに届かなかった。
  • The tailor made himself known to the king.
    • 仕立て屋は王様に自己紹介した。

その他の動詞

catchは、知覚動詞のように<SVO+C(分詞)>のかたちを取り、「OがCしているところを目撃する」という意味になる。

  • The teacher caught some students smoking in the rest room.
    • その教師は、数人の学生がトイレでたばこを吸っているところを目撃した。

keepやleaveは、「OをCの状態のままにさせておく」という意味になる。

  • Who left the engine running?
    • 誰がエンジンを掛けっぱなしにしたのですか?
  • I'm sorry to have kept you waiting so long.
    • 長らくお待たせして申し訳ありません。

wantやlikeは、「OをCしてほしい」という意味になる。

  • I want this project finished as soon as possible.
    • この計画を一刻も早く終わらせたい。
  • I don't like you smoking in this room.
    • この部屋での喫煙は遠慮してほしい。
      • smokingを動名詞と考えることもできる。その場合はyour smokingとも書ける。

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Last-modified: 2009-06-12 (金) 23:15:59