分詞が接続詞と動詞の役割を兼ねて副詞句として働くとき、分詞構文(Participial Construction)と呼ぶ。

分詞構文の基本形

分詞構文とは、<接続詞+S+V>という節のかたちを分詞を用いて句のかたちに書き換えたものである。原則として、Vが能動態であれば現在分詞を、受動態であれば過去分詞を用いる。Vが主節の時制よりも古い時を表したり完了時制である場合は、分詞を完了形にする。

分詞構文での分詞の形(moveの場合)
能動態受動態
単純形moving(being) moved
完了形having moved(having been) moved

接続詞+分詞構文

分詞構文は、その表す意味を文脈から判断する必要があるが、はっきりと意味を明示するために接続詞を前に置くことがある。前に置かれる接続詞は、時/条件/譲歩/場所を表すものがほとんどで、理由を表す接続詞は用いられない。

分詞構文+as one does

分詞構文に様態を表す副詞節<as one does>(doesは代動詞)を添えて、「なにしろ~なので」と理由を強調することがある。

分詞構文の表す意味

分詞構文がどのような意味を表すかは、文脈に基づいて判断する必要がある。分詞構文は、その表す意味に基づいて適切な接続詞を用いると節に書き直せるものが多い。

上記の例文では、分詞構文で表されている出来事は文の動詞が表す時と同時に起こっているが、以下のように「文の動詞より前」「文の動詞より前」を表すこともある。この用法は、連続を表す付帯状況として分類する。

原因/理由

分詞構文を否定するには、分詞の直前に否定語を置く。

分詞構文がbeingから始まる場合、ふつうbeingを省略する。

付帯状況

付帯状況とは、追加的な情報を主文に添える意味合いを持つ。

同時:~しながら

付帯状況を表す分詞構文は文の後ろに置くのが普通である。

連続:そして~

意味の軽い部分が分詞構文になる。

上の例文の下線部分をそれぞれ分詞構文にすると次のようになる。

主語の直後など、文中に分詞構文が挿入されることもある。

条件

分詞構文が条件を表す場合、過去分詞を用いることが多い。

現在分詞を用いて条件を表すのは、Weather permitting(天気が許せば)のような慣用的な表現に限られる。

譲歩

分詞構文が譲歩の意味を表すときは、以下の例文のように<Admitting ~>(~は認めるが)から始まることがほとんどであり、それ以外の分詞を用いる場合は<接続詞+分詞>のかたちで表すことが多い。

分詞構文の完了形

分詞構文で表される動作や出来事が、主文の動詞の表す時より以前に起こったことを明示する場合、分詞を完了形にする。

完了形の分詞構文をneverで否定する場合、語順は<Never having ~><Having never ~>のどちらでもよい。

独立分詞構文

分詞構文の意味上の主語が文の主語と異なる場合、分詞の前に置いて明示する。このような分詞構文を独立分詞構文(Absolute Participial Construction)と呼ぶ。独立分詞構文は極めて堅い文語的な表現とされ、日常会話で用いられることは非常に珍しい。

There構文の場合、Thereを主語に見立てて次のように書く。

懸垂分詞

分詞構文の意味上の主語が文の主語と一致していないにも関わらず、独立分詞構文となっていない分詞を懸垂分詞(Dangling Participle)と呼ぶ。懸垂分詞は、英語母語話者によってしばしば用いられるが、文法的には誤用とされる。

上記の例文のままでは、"over two hundred years old"なのは文の主語であるIになってしまうため、次のように修正するのが普通である。

with+独立分詞構文

付帯状況や理由を表す分詞構文を<with+独立分詞構文>のかたちで表すことがある。

慣用的な分詞構文

文の主語に関わりなく用いられる次のような分詞構文は慣用表現として定着しているものである。懸垂分詞の一種だが、これらは文法的に誤った表現とは考えられない。

その他の慣用的な分詞構文は次のとおり。


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