[[動名詞>Mt. English Grammar/12. 動名詞]]と同じく準動詞である不定詞は、動詞を元に作られてはいるが動詞ではないので、文の要素としての主語は持たない。だが、不定詞で表される動作や状態の主体が誰なのかを明確にする必要があるときは、意味上の主語を明示する。不定詞の意味上の主語を表す必要性の有無は、[[動名詞の意味上の主語]]に準じる。

#contents


*不定詞の意味上の主語を明示する必要がないとき [#d3965525]

一般的に、次のような場合、不定詞の意味上の主語を明示する必要はない。


**不定詞の意味上の主語とS(文の主語)が同じ場合 [#e6ae6897]

-'''I''' want ''to eat'' something.[[[名詞用法>to不定詞の名詞用法]]]
--何か食べたいな。
---不定詞が導く名詞句to eat something(何かを食べること)の主体は「私(I)」で、Sと同じ。

-'''I''' want something ''to eat''.[[[形容詞用法>to不定詞の形容詞用法]]]
--何か食べ物がほしいな。
---名詞somethingを修飾する不定詞to eatの主体は「私(I)」で、Sと同じ。

-'''Mike''' studied hard ''to pass'' the exam.[[[副詞用法>to不定詞の副詞用法]]]
--マイクはその試験に受かるため一生懸命勉強した。
---不定詞が導く副詞句to pass the exam(目的)の主体は「マイク(Mike)」で、Sと同じ。


**不定詞の意味上の主語が漠然とした一般の人々を表す場合 [#j064d510]

-It is fun ''to learn'' something new.
--何か新しいことを学ぶのは楽しいものだ。

-''To improve'' is ''to change''; ''to be'' perfect is ''to change'' often.
--向上とは変化である。完全になるとは、何度も変化することである。
---不定詞の主体は、すべて漠然とした一般の人々である。
---イギリス元首相・Sir Winston Churchillの言葉。


**不定詞の意味上の主語が文脈から明らかな場合 [#b4163a80]

-'''Our''' immediate goal is ''to raise'' more money.
--我々の当面の目標は、より多くの資金を調達することである。
---文の主語はOur immediate goalなので、不定詞が導くto raise more moneyの意味上の主語は本来ならOur immediate goalになるはずだが、実際の意味上の主語が「我々(We)」であることは所有格Ourから明らかである。


*不定詞の意味上の主語を明示する必要があるとき [#jcf476a4]

不定詞の意味上の主語が文の主語と一致せず、かつ、一般の人々でない場合、意味上の主語を明示する必要がある。


**<SVO+C(不定詞)>の場合 [#ma4ce709]

[[第5文型]](SVOC)では、Cの意味上の主語はOになる。[[Cに不定詞が入る場合>SVO+C(不定詞)]]も同様に、その意味上の主語はOになる。ただし、[[promiseだけは例外である:http://mep.papiko.com/index.php?SVO%EF%BC%8BC%EF%BC%88%E4%B8%8D%E5%AE%9A%E8%A9%9E%EF%BC%89#ec2b557d]]。

-My boss told '''me''' ''to abandon'' the project.
--私の上司は、私にその計画を断念するよう言った。
---不定詞が導く名詞句to abandon the project(その計画を断念すること:C)の意味上の主語は「私(me)」で、Oと同じ。

[[There構文]]は<There+V+S>という特殊な構造を持つので、there構文を<SVO+to不定詞>で表す場合、thereを名詞に見立てて<SV there to be+S'>の形で表す。

I don't want '''there''' ''to be'' any disagreement between us on this decision.
--この決定について我々の間で意見の不一致があることを私は望まない。

[[他動詞hopeは、<SVO+C(不定詞)>が取れそうで取れない:http://mep.papiko.com/index.php?SVO%EF%BC%8BC%EF%BC%88%E4%B8%8D%E5%AE%9A%E8%A9%9E%EF%BC%89#n1a094a6]]ので注意が必要である。

-○ I hope '''for things''' ''to go'' well.
-× I hope things to go well.
--物事がうまく行くよう、願っています。


**<for+意味上の主語の目的格>で表す場合 [#m955f931]

<SVO+C(不定詞)>以外で不定詞の意味上の主語を明示する場合、<for+意味上の主語の目的格>で表す。

-My mother's hope is '''for me''' ''to find'' a decent job.[名詞用法:不定詞=C]
--私の母の望みは、私がまともな仕事を見つけることです。

名詞用法で不定詞が主語になるときは、<For+意味上の主語+不定詞>を文頭に置くよりも形式主語構文(⇒6.2.1)で表すのが普通。
名詞用法で不定詞が主語になるときは、<For+意味上の主語+不定詞>を文頭に置くよりも[[形式主語構文:http://mep.papiko.com/index.php?to%E4%B8%8D%E5%AE%9A%E8%A9%9E%E3%81%AE%E5%90%8D%E8%A9%9E%E7%94%A8%E6%B3%95#u9e17105]]で表すのが普通である。

It was impossible for Chris to accept her father’s death.[名詞用法:形式主語構文]
クリスは、父親の死という現実を受け入れることができなかった。
※	Chris couldn’t accept her father’s death.とも書ける。
There was a lot of work for him to do.[形容詞用法]
彼にはやらねばならないことが沢山あった。
It’s time for children to go to bed.[形容詞用法]
子供はもう寝る時間だよ。
He left the door open a little for his cat to enter the room.[副詞用法(動詞修飾:目的)]
彼は、猫が部屋に入って来れるよう、ドアを少し開けておいた。
This book is too difficult for children to read.[TOUGH構文]
この本は、子供が読むには難しすぎる。
Is it possible for there to be life on any other planet?
= Is it possible that there is life on any other planet?
どこか他の惑星に生命が存在することはありえるのだろうか?
※	There構文は<There+V+S>という特殊な構造を持つので(⇒1.1)、意味上の主語を明示するときは、thereを名詞に見立てて<for there to be+S>の形で表す。動名詞でも同じ考え方をする(⇒5.3.3)。
c.	<of+意味上の主語の目的格>で表す場合
  <It is … of A to~>の構文は、「~するとはAは…だ」の意味を表し、ある人物の行為に基づいてその人物に関する話者の主観的評価を述べるのに用いられる。
It was careless of me to leave my house key in my car.
家の鍵を車の中に置き忘れるなんて、私は不注意だった。
※	I was careless to leave….とも書ける。<~するとは不注意だ>型の表現(6.7.2-a.)も参考にせよ。
-''It'' was impossible '''for Chris''' %%%to accept her father's death%%%.[形式主語構文]
--クリスは、父親の死という現実を受け入れることができなかった。
---Chris couldn't accept her father's death.とも書ける。

-There was a lot of work '''for him''' ''to do''.[形容詞用法]
--彼にはやらねばならないことが沢山あった。

-It's time '''for children''' ''to go'' to bed.[形容詞用法]
--子供はもう寝る時間だよ。

-He left the door open a little '''for his cat''' ''to enter'' the room.[副詞用法(動詞修飾:目的)]
--彼は、猫が部屋に入って来れるよう、ドアを少し開けておいた。

-This book is too difficult '''for children''' ''to read''.[[[TOUGH構文:http://mep.papiko.com/index.php?to%E4%B8%8D%E5%AE%9A%E8%A9%9E%E3%81%AE%E5%89%AF%E8%A9%9E%E7%94%A8%E6%B3%95#c213a13d]]]
--この本は、子供が読むには難しすぎる。

-Is it possible ''for there'' ''to be'' life on any other planet?
-= Is it possible that there is life on any other planet?
--どこか他の惑星に生命が存在することはありえるのだろうか?
---[[There構文]]は<There+V+S>という特殊な構造を持つので、意味上の主語を明示するときは、thereを名詞に見立てて<for there to be+S>の形で表す。[[動名詞でも同じ考え方をする:http://mep.papiko.com/index.php?%E5%8B%95%E5%90%8D%E8%A9%9E%E3%81%AE%E6%84%8F%E5%91%B3%E4%B8%8A%E3%81%AE%E4%B8%BB%E8%AA%9E#e70d5e56]]。


**<of+意味上の主語の目的格>で表す場合 [#c2033a88]

<It is … of A to~>の構文は、「~するとはAは…だ」の意味を表し、ある人物の行為に基づいてその人物に関する話者の主観的評価を述べるのに用いられる。

-It was careless '''of me''' ''to leave'' my house key in my car.
--家の鍵を車の中に置き忘れるなんて、私は不注意だった。
---I was careless to leave….とも書ける。[[<~するとは親切だ>型の表現:http://mep.papiko.com/index.php?to%E4%B8%8D%E5%AE%9A%E8%A9%9E%E3%81%AE%E5%89%AF%E8%A9%9E%E7%94%A8%E6%B3%95#pbdeba82]]も参考にせよ。


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