to不定詞が、動詞/形容詞/副詞を補足的に説明する用法をまとめてto不定詞の副詞用法と呼ぶ。以下に述べる分類とその解説は、訳し方や使い方などに応じた便宜的なものである。 #contents *副詞用法による動詞修飾 [#n66903d0] **目的 [#t7dda5af] -George is saving the money ''to buy'' an engagement ring for his girlfriend. --ジョージは、恋人に婚約指輪を買うためにお金を貯めている。 -Be careful ''not to catch'' a cold. --風邪を引かないように注意しなさい。 ---否定の目的を表す場合、<be careful not to do>や<take care not to do>のように、「~しないように気をつける」という表現以外のときは、<so as not to do>や<in order not to do>を用いるのが普通。 目的の意味をより明確にしたい場合は、次のような表現を用いる。 ***in order to~:~するために [#f5a72758] -He did anything ''in order to survive'' the war. -= He did anything in order that he could survive the war. --彼は、戦争を生き延びるために何でもした。 -You have to make your point clear ''in order not to'' cause a misunderstanding. -= You have to make your point clear in order that you won’t cause a misunderstanding. --誤解を招かないよう、要点をはっきりさせなさい。 ***so as to~:結果として~となるように [#e952fb42] -I took a detour ''so as to avoid'' a traffic jam. -= I took a detour so that I could avoid a traffic jam. --交通渋滞を避けるため、私は迂回路をとった。 **結果 [#bb314480] 「…した結果~する」という意味を表す。 -My great-grandfather lived ''to be'' 106. --私の曽祖父は106歳まで生きた。 -I woke up ''to find'' myself in a hospital bed. --眼が覚めると、私は病院のベッドに横たわっていることに気がついた。 -I emailed her ''to let'' her know my schedule for next week. --私は彼女に電子メールを送って、私の来週の予定を知らせた。 ---「知らせるために電子メールを送った」([[目的:http://mep.papiko.com/index.php?to%E4%B8%8D%E5%AE%9A%E8%A9%9E%E3%81%AE%E5%89%AF%E8%A9%9E%E7%94%A8%E6%B3%95#t7dda5af]])とも解釈できる。どちらの意味になるかは文脈による。 ***only to~:結局~する結果に終わる [#y1bb3d00] 結果を表す慣用表現に、only toとnever toがある。 -She hurried to the station, ''only to find'' that they had already left. --彼女は駅に急いだが、彼らはすでに出発していた。 ---only toの前にコンマを置かなくてもよい。 ***never to~:二度と~しない結果となる [#r3ac5aa1] -He went to Africa for research, ''never to come'' back. --彼は調査でアフリカに行き、二度と戻ってこなかった。 **感情の原因 [#e32c2a5e] 感情を表す語の後ろについて、その感情が生起した原因や理由を説明する。 -I was '''surprised''' ''to hear'' that his company had gone bankrupt. --彼の会社が倒産したと聞いて僕は驚いた。 ---to不定詞は形容詞surprisedを修飾しているとも考えられる。 **判断の根拠 [#i57d269e] 「~するとは(…に違いない)」という意味を表す。強い推量の助動詞mustとともに使われることが比較的多い。 -Jim '''must''' be out of his mind ''to refuse'' such a juicy offer. --そんな美味しい話を蹴るなんて、ジムはどうかしているに違いない。 -How lucky you are ''to have'' such beautiful hair! --そんなに美しい髪を持っているなんて、あなたはなんて幸せなのでしょう! ---You are very lucky to have such beautiful hair.の[[感嘆文]]。 *副詞用法による形容詞や副詞の修飾 [#s10a1b84] **形容詞を補足的に修飾する場合 [#g19473ca] ***<~して嬉しい>型 [#uc40aefb] -I'm '''happy''' ''to hear'' that you enjoyed my web-site. --君が僕のWebサイトを楽しんでくれたと聞いて嬉しいよ。 ---[[感情の原因:http://mep.papiko.com/index.php?to%E4%B8%8D%E5%AE%9A%E8%A9%9E%E3%81%AE%E5%89%AF%E8%A9%9E%E7%94%A8%E6%B3%95#e32c2a5e]]とも考えられる。 ***<~するのが速い>型 [#vd45982b] -My cell phone is '''fast''' ''to become'' low battery. --僕の携帯電話はすぐに電池不足になる。 ---この表現をとる主な形容詞は、quick(素早い) / slow(遅い) / swift(素早い)など。 ***<~するとは親切だ>型 [#pbdeba82] この表現をとる主な形容詞は、brave(勇敢な) / careful(注意深い) / kind(親切な) / wise(聡明な)など、人間の性格や性向を説明するものが多い。 -I was '''careless''' ''to leave'' my house key in my car. --不注意にも、私は家の鍵を車の中に置いてきてしまった。 ---[[判断の根拠:http://mep.papiko.com/index.php?to%E4%B8%8D%E5%AE%9A%E8%A9%9E%E3%81%AE%E5%89%AF%E8%A9%9E%E7%94%A8%E6%B3%95#i57d269e]]とも考えられる。 ---It was careless of me to leave….とも書ける。詳しくは、<of+意味上の主語の目的格>で表す場合を参照。 ***<きっと~する>型 [#d43e4176] -Bob is ['''sure''' | '''certain'''] ''to come'' here. --ボブはきっとここに来る(と私は思う)。 ---Sではなく、話者(私)の確信を表す。I'm [sure | certain] that Bob will come here.とも書ける。 ***<~したがっている>型 [#pc63a55b] -Children are '''eager''' ''to know'' everything. --子供は何でも知りたがる。 -Are you '''ready''' ''to go'' out? --出かける準備はできてる? -He is not '''likely''' ''to show'' up. -= It is not likely that he will show up. --彼は姿を現しそうにない。 -<~したがっている>型の主な表現 --be anxious to~ :~することを切望する(不安や懸念の気持ちを含む) --be ambitious to~:~することを熱望する --be eager to~:~することを熱望する --be keen to~:~することを熱望する --be apt to~:~する傾向にある(本質的な性向として) --be inclined to~:~したい気になる/(体質的に)~する傾向にある --be likely to~:~しそうである --be ready to~:~する用意ができている --be willing to~:~する意志がある ***<~するのが難しい>型(TOUGH構文) [#c213a13d] -This puzzle is '''easy''' ''to solve''. --このパズルは簡単に解ける。 ---TOUGH構文とも呼ばれる。詳しくは、[[[FYI] TOUGH構文:http://mep.papiko.com/index.php?to%E4%B8%8D%E5%AE%9A%E8%A9%9E%E3%81%AE%E5%89%AF%E8%A9%9E%E7%94%A8%E6%B3%95#lae87131]]を参照。 **程度を表す表現 [#u2ee6924] ***enough to~:~するのに十分な [#odaf897c] -He is '''rich''' ''enough to buy'' a car. --彼は車を買えるほどの金持ちだ。 ---He is so rich that he can buy a yacht.(彼はとても金持ちなのでヨットを買える)とは意味が異なる。「車を買えるくらいの財力はある」という意味であり、「とても金持ちだ」とはならないので注意が必要である。 -They ran '''fast''' ''enough to catch'' the train. --彼らは電車に間に合うよう、速く走った。 ***too … to~:あまりに…なので~できない(しない) [#h7192b97] -I've recently been ''too'' '''busy''' ''to read'' a book. --私は近ごろ忙しすぎて本を読む暇もありません。 ---形式主語構文との混同に注意。It is never too late to learn.(学ぶのに遅すぎることはない)は形式主語構文であり、to不定詞(to learn)は名詞用法である。 -This story is ''too'' '''good''' ''to be'' true. --この話はうますぎる(=本当のはずがない)。 -He is ''too'' '''good a translator''' ''to make'' such a mistake. --彼は、とても有能な通訳なので、そんな間違いは犯さない。 ---副詞tooが<[a | an]+形容詞+名詞>の形容詞を修飾すると、<too+形容詞+[a | an]+名詞>の語順になる。同様の倒置を起こす副詞に、as / how / soがある。 ---a too good translatorの形も可。 否定の文脈で用いると<~できないほど…というわけではない>という肯定の意味になる。 -He is not ''too'' '''poor''' ''to buy'' a car. -= He is rich enough to buy a car. --彼は、車が買えないほど貧しいというわけではない。 to不定詞を否定すると<あまりにも…なので~しないわけにいかない/きっと~する>という強い肯定の意味になる。 -This chocolate is ''too'' '''good''' ''not to share'' with you. --このチョコレートはとても美味しいから、ぜひあなたにも食べて欲しいの。 ***so … as to~:~するほど… [#cad9c176] -Clare's hair is ''so'' '''long''' ''as to reach'' the floor. -= Clare’s hair is long enough to reach the floor. --クレアの髪は床に届くほど長い。 -I am not ''so'' '''naive''' ''as to believe'' that everyone in this world is honest and never lies to me. -= I am mature enough not to believe that…. --僕は、この世の誰もが誠実で決して僕に嘘をつかないと信じるほど、世間知らずではない。 ---形容詞naiveは、日本語では「純真な/無邪気な」という肯定的な意味で用いられることが多いが、英語では「世間知らずの/だまされやすい」という否定的なニュアンスで用いられることのほうが多い。 *[FYI] TOUGH構文 [#lae87131] <It is C to 不定詞>という形式主語構文において、その補語が難易(easy / difficult / hard / toughなど)や快・不快(comfortable / uncomfortableなど)、危険・安全(dangerous / safeなど)を表す語であり、かつ、to不定詞内に名詞が存在する場合、その名詞を主語にすることができる。このようにして出来た文を''TOUGH構文''と呼び、to不定詞内の名詞が主語の位置に移動する現象をTOUGH移動と呼ぶ。 -It is '''safe''' to drink ''this water''.[形式主語構文] -''This water'' is '''safe''' to drink.[TOUGH構文] --この水は安全に飲める。 -It is '''dangerous''' to swim in ''this pond''.[形式主語構文] -''This pond'' is '''dangerous''' to swim in.[TOUGH構文] --この池で泳ぐのは危険です。 形式主語構文では名詞用法として働いているto不定詞が、TOUGH構文ではCを修飾する副詞用法として働いている。