他動詞の中には、目的格補語に不定詞を取って<SVO+C(不定詞)>というかたちの第5文型を作るものがある。 Cに入る不定詞の種類はVの動詞によって異なる。また、能動態と受動態でCに入る不定詞の種類が異なる動詞もあるため注意が必要である。 SVO+C(to不定詞) †SVO+to be C †
to beを省略できるかどうかは動詞によって異なるが、厳密な区別はないとされる。 <SVO+to be C>の、to beを省略できる主な動詞 †
<SVO+to be C>の、to beを省略しない主な動詞 †
SVO+to do †一般動詞を元に作られたto不定詞を目的格補語の場所に置いて第5文型(SVOC)を作ることができる。日本語訳のパターンは、「Sは、OがCすること(Cになること)をV」となることが多い。 一般的な<SVO+to不定詞> †第5文型(SVOC)では、Cの意味上の主語はOになる。<SVO+to不定詞>でも同様に、to不定詞で表される動作や状態の意味上の主語はOになる。
受動態に書き換えると第2文型(SVC)になり、Cの意味上の主語はSになる。
tellは、Oをthat節の主語にして、<S tell O1+that節(O2)>に書き換えることができる。
Oとto不定詞のあいだに受動の関係が成り立つときは、to不定詞を受動態にする。
There構文は<There+V+S>という特殊な構造を持つので、there構文を<SVO+to不定詞>で表す場合、thereを名詞に見立てて<SV there to be+S’>の形で表す。
注意すべき<SVO+to不定詞>:promiseとhelp †他動詞promiseの場合に限り、to不定詞の意味上の主語がOにならず、Sになるので注意が必要である。
現代英語では、上記のような混乱を避けるためthat節を用いて第3文型(SVO)か第4文型(SVO1O2)で表すのが普通とされる。
また、他動詞helpは、Cに原形不定詞とto不定詞の両方を取れる。
<SVO+to不定詞>が取れそうで取れないhope †他動詞hopeは、<SVO+to不定詞>の形を取って、<S hope O to不定詞>と書けそうだが、実際には書けない。<SVO+for 意味上の主語+to不定詞>とする必要がある。
hopeは、<for 意味上の主語>をthat節の主語にして、<S hope that節>に書き換えることができる。
SVO+C(原形不定詞) †第5文型(SVOC)において、Vに知覚動詞(get以外)や使役動詞などが置かれると、Cはto不定詞にならず原形不定詞になる。 <S+V(知覚動詞)+O+C(原形不定詞)>の用法 †知覚動詞とは、身体的知覚を意味する動詞で、「見る」(see / watch)「聞く」(hear)「感じる」(feel)などに代表される。
ただし、受動態にするときは原形不定詞をto不定詞に書き直す必要がある。
アメリカ英語では、本来は<自動詞+前置詞>であるlisten toやlook atを一つの他動詞として捉えて知覚動詞として句動詞的に扱い、<SVO+原形不定詞>の形を作ることがある。
このようなSVOCから受動態が作られることは無い。 <S+V(使役動詞)+O+C(原形不定詞)>の用法 †使役動詞とは、「OにCさせる」を表す他動詞を指し、make / have / letなどに代表される。 make:Oに無理やりCさせる †使役動詞makeは、Oの意志に関わらず無理やり何かをさせるという強制の意味を持つ。
受動態にすると原形不定詞をto不定詞に書き直す必要がある。
let:OがCすることを許す/OをCのままにしておく †使役動詞letは、Oに自由に何かをさせるという許可の意味を持つ。
letを用いた受動態は作れないので、allowやpermitなど許可を表す他の他動詞で代用する。その際、原形不定詞はto不定詞に書き換える必要がある。
letは命令文で、次のように用いられることも多い。
勧誘を意味する命令文<Let’s 動詞原形>のLet’sは、<Let+us>の縮約形である。
have:OにCを(当然のこととして)させる/してもらう †使役動詞haveは、当然のこととしてOにCをしてもらうという合意の意味を持つ。
haveそのものは受動態にならないが、OとCの間に受動関係が成り立てば、Cに過去分詞を置く。haveを用いた受動の意味を表す表現も参照のこと。
get:OにCさせる/してもらう †使役動詞の中で、getだけはCにto不定詞を取るので注意が必要である。getは、努力を伴う使役を意味する。
getそのものは受動態にならないが、OとCの間に受動関係が成り立てば、Cに過去分詞を置く。
[FYI] <SVO+(to)不定詞>に関する主要参考書の見解 †<SVO+(to)不定詞>を、Mt. English Grammarでは一貫して第5文型(SVOC)として扱っているが、英文法参考書によっては異なる見方をしているものもある。 たとえば『新訂増補マスター英文法』(中原道喜・聖文新社)では当サイトと同じくこの構造をSVOCとして扱っている。 『ロイヤル英文法』(綿貫陽他・旺文社)の場合、初版ではこの文構造をSVOCとして扱っていたが、改訂新版では「いろいろな見方があるので、特別な構文として扱う」という表記に変更している。 また、『英文法解説』(江川泰一郎・金子書房)では、promiseのような例外を含むなどの理由からこの文構造を「5文型の学習文法の枠内で処理することは不可能」としている。さらに、この文構造では動詞の目的語をOだけでなく<O+不定詞>として見るべきだという見解に立っている。 変形文法の観点を取り入れた『英文法総覧』(安井稔・開拓社)は、5文型による英文の分類にそもそも消極的である。<SVO+(to)不定詞>については、他動詞の中には<目的語+to不定詞>の構造を従えるものもあるという解説に留めている。 さらに、『ジーニアス英和辞典』(大修館書店)では、第2版までは<S+tell+O+to不定詞>などを第4文型として扱っていたが、現在(第3版以降)では文型分類を行っていない。 英文構造をどのように解釈するかというのは、極論すれば解説者の思想の表明であり、どれが正しい(あるいは間違っている)と断言できるものではない。当サイトの見解は、上記に挙げた解説書の中では『マスター英文法』に最も近いと言えるだろう。 |