分詞が形容詞的に用いられて名詞を修飾するとき、これを分詞の形容詞用法と呼ぶ。なお、完全に形容詞化した分詞は分詞形容詞として区別される。

現在分詞と過去分詞の基本的な違い

原則として、現在分詞は能動の意味(~する/~している)を表し、過去分詞は受動の意味(~される/~された)を表す。

限定用法で、現在分詞を使うか過去分詞を使うかは、分詞の元になる動詞と修飾される名詞との関係によって決まる。分詞の元になる動詞と修飾される名詞との間に能動関係(~する/~している)が成り立つのであれば現在分詞、受動関係(~される/された)であれば過去分詞を用いる。

なお、現在分詞と動名詞は同じ~ingのかたちを取るが、それぞれ用法が異なる。詳しくは動名詞と現在分詞の違いを参照

以下の例では、他動詞excite(~を興奮させる)を元に作られた現在分詞exciting(興奮させる)と過去分詞excited(興奮させられた)を用いている。

分詞の位置

名詞の前に置く場合(前置修飾)

原則として、分詞を単独で用いるときは名詞の前に置く。

自動詞の現在分詞

現在分詞を名詞の前に置くとき、その分詞の元になる動詞は原則として自動詞に限られる。修飾される名詞と分詞の元になっている動詞とのあいだには能動の関係が存在している。

他動詞の過去分詞

他動詞の過去分詞は受動の意味になる。すなわち、修飾される名詞と分詞の元になっている動詞とのあいだには受動の関係が存在している。

自動詞の過去分詞

自動詞の過去分詞は完了の意味を表すので注意が必要である。

名詞の後ろに置く場合(後置修飾)

分詞が他の語句を伴う場合、<名詞+分詞+他の語句>の形で名詞の後ろに置く。他の語句には、副詞表現の他に、分詞の目的語や補語が来ることもある。後置修飾する分詞(形容詞句)は関係代名詞節(形容詞節)で書き換えることができる。

分詞+副詞表現

自動詞の過去分詞が後置されるのは特殊な場合に限られる。

分詞+目的語

分詞+目的語+補語

分詞単独による慣用的な後置修飾

分詞が単独で名詞の後ろに置かれることがある。一般的に分詞の動詞的性質が強いときに起こる現象で、他動詞の過去分詞が使われることが多い。

[FYI] 分詞の前置と後置

分詞は、動詞から生まれた形容詞である。したがってその役割は、形容詞的性質と動詞的性質を併せ持つものになる。

形容詞的性質が状態的/永続的/一般的性質を表し、そのため強い限定力を持つのに対して、動詞的性質は動作的/一時的/個別的な意味を表し、そのため限定力が弱い。一般的に、単独で用いられた分詞を形容詞的に使うときは前置し、動詞的に使うときは後置する。

分詞の前置と後置について、学習参考書の中では『英文法詳解』(杉山, 1998)が最も詳しい解説を試みている。だが、同書でも「名詞を修飾する分詞(1語だけ)をその前におくかあとにおくか、に関するルールは、十分満足できるものが見つかっていないようである」と断ってある(p. 406)。


トップ   新規 一覧 検索 最終更新   ヘルプ   最終更新のRSS