動名詞をはじめとする準動詞は、動詞を元に作られてはいるが動詞ではないので、文の要素としての主語は持たない。だが、準動詞で表される動作や状態の主体(意味上の主語と呼ぶ)が誰なのかを明確にする必要があるときは、意味上の主語を明示する。動名詞の場合、意味上の主語を明示するとき、意味上の主語になる名詞の所有格を動名詞の前に置くのが普通である。
動名詞の意味上の主語を明示する必要がないとき †
一般的に、次のような場合、動名詞の意味上の主語を明示する必要はない。
動名詞の意味上の主語と文の主語が同じ場合 †
- I like playing the violin.
- 私はバイオリンを弾くのが好きだ。
- 動名詞が導く名詞句playing the violin(バイオリンを弾くこと)の主体は「私(I)」で、Sと同じ。
動名詞の意味上の主語が漠然とした一般の人々を表す場合 †
- Telling the truth is generally regarded as honorable.
- 本当のことを言うことは、一般的に立派であると考えられている。
- 動名詞が導く名詞句Telling the truth(本当のことを言うこと)の主体は一般の人々である。
動名詞の意味上の主語が文脈から明らかな場合 †
- Thank you for coming.
- 来てくれてありがとう。
- 感謝しているのは話者なので、動名詞comingの意味上の主語は本来「私(I)」になるはずだが、実際は他動詞thankの目的語であるyouが意味上の主語である。
- My hobby is composing haiku.
- 私の趣味は俳句を詠むことです。
- 文の主語はMy hobbyなので、動名詞が導く名詞句composing haikuの意味上の主語は本来ならMy hobbyになるはずだが、実際の意味上の主語が「私(I)」であることは所有格Myから明らかである。
- 俳句は短文詩の形式として今や世界的に広まっており、英語圏にも愛好者が多い。