進行形(progressive)は<be+現在分詞>の形で表す。主語と時制に合わせて変化するこのbeは、be動詞ではなく助動詞として扱われる。

進行形の表す基本的な意味

進行形の基本用法は次の3つである。

a. 現に進行中/未完結の動作

b. 確定的な未来・予定

往来発着を表す動詞とともに用いられることが多い。

c. 反復的・常習的行為

非難や皮肉の意味を含むことが多く、また、副詞alwaysなどを伴うことが多い。

進行形の注意すべき用法

過去進行形/未来進行形は、基本的に時点を過去と未来に移して、現在進行形に準じて考えればよいが、次の点で注意が必要である。

a. 基準点となる過去に進行中の動作を表す過去進行形

b. 丁寧な依頼を表す過去進行形

c. 成り行きを表す未来進行形

未来進行形で表される未来は誰の意志も介在しない無意志未来で、当然の結果や成り行きとして起こることが含意される。

原則として進行形にしない動詞

原則として、belong / have(持っている) / standなどの状態動詞、hear / like / love / seeなどの知覚動詞や心的動詞を進行形で表すことはない。

ただし次のように一時的な状態を強調するときは進行形を用いることもある。

一時的な状態の強調

非難や皮肉の意味を含むことが多い。

[FYI] マクドナルド社のコピー"i'm lovin' it"は間違いか

2003年9月、マクドナルド社が発表した世界規模のブランド戦略の名前が"i'm lovin' it"である。この名称は、現在に至るまで同社のあらゆる広告や商品にコピー(宣伝文句)として用いられている。ところで、loveは感情を表す心的動詞であり、原則として進行形にすることはできないはずなのだが、このコピーの中では明らかに現在進行形として使われている。マクドナルド社がうっかり書き間違えてしまったのだろうか?

結論から先に言うと、これは間違いではない。一時的な状態を強調したいとき(上記解説を参照)や、状態動詞を動作動詞的に用いるときであれば、状態動詞でも進行形にすることができる。

例えば、haveという動詞は「~を持っている」という所有の意味では普通進行形にしないが、「~を飲食している」という動作を表す意味では進行形にすることができる。

“i'm lovin' it”というフレーズは、おそらく、今まさにマクドナルドの商品(it)を食べている人が口にする次のようなセリフの中で使われるだろう。

上記の例文の中で使われているloveは、目の前に存在するマクドナルドの商品を楽しんでいる最中である(つまり現在進行中である)ことを意味しており、意味的には動作動詞のenjoyに近い。このloveの用法は口語表現などに特に多く見られる。そのためこのコピーでも、一人称の代名詞Iをわざと小文字で表現し、現在分詞lovingをlovin'と口語的に表現している(実際には発音されない文字をアポストロフィに置き換えるこのような技法を視覚方言と呼ぶ)。注意したいのは、すべての状態動詞がこのような進行形をとるわけではなく、限られた動詞に(なかば慣用的に)見られる現象であるという点である。

ちなみに上記英文を訳すと、次のようになるだろう。雰囲気を出すため、関西弁を使っている。

マクドナルドの商品を食べる世界中の人に“i'm lovin' it”と言ってほしい、そんな気持ちがこのコピーに込められていると思われる。


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