分詞は形容詞的な性質を持っているため、名詞を修飾する([[限定用法>分詞の限定用法]])という機能以外にも、[[補語]]になる機能がある。 分詞が補語になるということは、<SV+C(補語)>という[[第2文型]]と<SVO+C(補語)>という[[第5文型]]を作るということである。 #contents *SV+C(分詞) [#y1f18e5a] 一部の完全自動詞は、[[第2文型]]を取って<SV+C(分詞)>の形をとることがある。 **Cに現在分詞を用いる場合 [#nb1f8e55] <SV+C(分詞)>において、SとCのあいだに能動の関係が成り立つとき、Cには現在分詞を用いる。 -He '''came''' ''running''. --彼は走ってやってきた。 ---"He was running."(彼は走っていた)は<be+現在分詞>による[[進行形]]で[[第1文型]]である。 -The audience '''kept''' ''applauding'' long after the curtain came down. --カーテンが降りた後も観衆の拍手は鳴り止まなかった。 ---<keep ~ing>(~し続ける)の~ingは現在分詞で補語である。 **Cに過去分詞を用いる場合 [#r814df38] <SV+C(分詞)>において、SとCのあいだに受動の関係が成り立つとき、Cには過去分詞を用いる。 -He '''was sitting''' ''surrounded'' by his grandchildren. --彼は孫たちに囲まれて座っていた。 ---"He was surrounded by his grandchildren."(彼は孫たちに囲まれていた)は<be+過去分詞>による[[受動態>SVOの受動態]]である。 *SVO+C(分詞) [#fa3a857c] 知覚動詞や使役動詞などの中には、<SVO+C(分詞)>のかたちを取るものがある。Cに現在分詞と過去分詞のどちらを用いるかは、OとCのあいだの関係による。OとCのあいだに能動関係が成り立つときはCに現在分詞を、OとCのあいだに受動関係が成り立つときは過去分詞を用いる。 **知覚動詞 [#we1ca760] -He '''heard''' %%%his mother%%% ''calling'' his name. --彼は、母親が彼の名前を呼んでいるのを聞いた。 ---his motherと、分詞の元になっている動詞callのあいだには、「母親が彼の名前を呼ぶ」という能動関係が成立している。 ---OとCのあいだの関係は、"&subsc{S};%%%his mother%%% &subsc{V};%%%(was) calling%%% &subsc{O};%%%his name%%%"という[[第3文型]]と解釈することもできる。 Cに現在分詞を用いると、原則として<OがCの動作の一部を知覚する>という意味になる。[[Cには原形不定詞を用いることもできる>http://mep.papiko.com/index.php?SVO%EF%BC%8BC%EF%BC%88%E4%B8%8D%E5%AE%9A%E8%A9%9E%EF%BC%89#lbe1e3e1]]が、その場合は<OがCの動作の一部始終を知覚する>という意味になる。このため、すぐに完結するような動作については原形不定詞を用いるのが一般的である。 -I '''saw''' %%%the boys%%% ''dive'' into the water one after another. --私は男の子たちが水の中に次々と飛び込むのを見た。 OとCのあいだに受動関係が成り立つとき、Cには過去分詞を用いる。 -He '''heard''' %%%his name%%% ''called'' by his mother. --彼は、母親に自分の名前が呼ばれているのを聞いた。 ---his nameと、分詞の元になっている動詞callのあいだには、「彼の名前が呼ばれる」という受動関係が成立している。 ---OとCのあいだの関係は、"&subsc{S};%%%his name%%% &subsc{V};%%%(was) called%%% &subsc{副詞句};%%%by his mother%%%"という、[[第3文型]]の能動態を受動態にしたものと解釈することもできる。 -We often '''hear''' %%%it%%% ''said'' %%%that practice makes perfect%%%. --習うより慣れろと言われるのをよく耳にする。 ---itは形式目的語。 **使役動詞 [#i6025a10] ***使役動詞+O+現在分詞 [#ob904f91] このかたちは特にhaveにおいて多く見られる。[[Cには原形不定詞を用いることもできる:http://mep.papiko.com/index.php?SVO%EF%BC%8BC%EF%BC%88%E4%B8%8D%E5%AE%9A%E8%A9%9E%EF%BC%89#nc9eb9c2]]が、Cに現在分詞を用いると、<Oに一時的にCさせておく>や<近い将来Oに当然Cさせる>という意味になる。 -I '''won't have''' %%%you%%% ''saying'' such a thing about my father. --父のことについて君にそんなことを言わせておくわけにはいかないぞ。 ---<I [won't | can't | wouldn't] have O ~ing>では「Oに~させるわけにはいかない」の意味になる。 -This game '''will have''' %%%you%%% ''coming'' back for more! --このゲームは、あなたにより多くを求めに戻らせる!=このゲームはあなたを虜にする! ***使役動詞+O+過去分詞 [#o76bf258] 「OをCしてもらう」という使役の意味の他に、「OをCされる」という被害の意味を表す。 -He '''had''' %%%a decayed tooth%%% ''pulled'' out yesterday. --彼は昨日、虫歯を抜いてもらった。[使役] -It is time to '''get''' %%%my car%%% ''washed''. --そろそろ洗車してもらう時期だ。[使役] -The East India Company '''made''' %%%its presence%%% ''felt'' in India in the 17th century. --東インド会社は17世紀のインドで存在感を示した。[使役] -I '''had''' %%%my fingers%%% ''blown'' off in 'Nam. --俺はベトナム戦争で指を吹っ飛ばされたのさ。[被害] ---'Namはベトナム(戦争)を指す口語表現。 ***make+oneself+過去分詞の表現 [#t6ed6e05] <make+oneself+過去分詞>のかたちには以下のような成句的な表現がある。 -Roy '''could not make''' %%%himself%%% ''understood'' in Chinese. --ロイは中国語で(周囲の人々から)自分を理解してもらえなかった。=ロイは中国語で意思疎通ができなかった。 -I '''couldn't make''' %%%myself%%% ''heard'' by my students because of so much noise. --うるさすぎて私の声は生徒たちに届かなかった。 -The tailor '''made''' %%%himself%%% ''known'' to the king. --仕立て屋は王様に自己紹介した。 **その他の動詞 [#l1a14b90] catchは、知覚動詞のように<SVO+C(分詞)>のかたちを取り、「OがCしているところを目撃する」という意味になる。 -The teacher '''caught''' %%%some students%%% ''smoking'' in the rest room. --その教師は、数人の学生がトイレでたばこを吸っているところを目撃した。 keepやleaveは、「OをCの状態のままにさせておく」という意味になる。 -Who '''left''' %%%the engine%%% ''running''? --誰がエンジンを掛けっぱなしにしたのですか? -I'm sorry to '''have kept''' %%%you%%% ''waiting'' so long. --長らくお待たせして申し訳ありません。 wantやlikeは、「OをCしてほしい」という意味になる。 -I '''want''' %%%this project%%% ''finished'' as soon as possible. --この計画を一刻も早く終わらせたい。 -I '''don't like''' %%%you%%% ''smoking'' in this room. --この部屋での喫煙は遠慮してほしい。 ---smokingを[[動名詞>準動詞としての動名詞]]と考えることもできる。その場合はyour smokingとも書ける。