to不定詞の名詞用法は、動名詞と同じく名詞の働きをする準動詞なので文の要素として主語(S)/目的語(O)/補語(C)になれる。ただし、動名詞と違い、前置詞の目的語になることはできない。動名詞とto不定詞の名詞用法の違いについて、詳しくは、動名詞とto不定詞の名詞用法を参照。
Sになるto不定詞 †
- To swim here is dangerous.
- ここで泳ぐのは危険です。
- 自動詞swimを元に作られた不定詞to swim(泳ぐこと)が副詞hereによって修飾されている。
- To learn English is fun.
- 英語を学ぶことは楽しい。
- 他動詞learnを元に作られた不定詞to learn(~を学ぶこと)が目的語Englishを取っている。
- To be an astronaut was my life-long dream.
- 宇宙飛行士になることが私の生涯の夢でした。
- be動詞を元に作られた不定詞to beが、名詞astronautを補語に取っている。
to不定詞を用いた形式主語構文 †
to不定詞を主語に置くと文頭が大きくなりすぎて文のバランスが悪くなることがある。そのような場合、形式主語のItを文頭に置いてto不定詞全体を文の最後にまわすのが普通である。形式主語に対して、実際の主語であるto不定詞を真主語と呼ぶ。このような形式主語を用いた構文を形式主語構文と言う。
以下は、上述の例文を全て形式主語構文で書き直したもの。
- It is dangerous to swim here.
- It is fun to learn English.
- It was my life-long dream to be an astronaut.
上記例文ではたまたま第2文型(SVC)の形式主語構文ばかりを取り上げたが、もちろん他の文型を取ることもある。
- It matters to know the facts before refusing or neglecting something.[第1文型(SV)]
- 何かを拒絶したり軽視したりする前に、事実を知っておくことが重要です。
- It surprised me to see how much money he saved.[第3文型(SVO)]
- 彼がどれほどお金を貯め込んでいるのかを知って、私は驚いた。
- It took me a while to figure out the puzzle.[第4文型(SVO1O2)]
- It makes me sad to think that there are many starving people in the world.[第5文型(SVOC)]
- 世界には飢えに苦しむ多くの人がいるのだと考えると、私は悲しくなる。
to不定詞の否定形 †
to不定詞を否定するには、否定語notやneverを置く。
- It is impolite not to greet someone back if you are greeted.
- あいさつをされたら、あいさつを返さないと失礼になる。
- 他動詞greetを元に作られた不定詞to greet(~にあいさつする)が、副詞backと副詞節if you are greetedによって修飾されている。
Oになるto不定詞 †
他動詞の中には、動名詞とto不定詞を目的語に取るものがある。どちらも目的語に取れるものもあれば、どちらか片方しか目的語に取れないものがある。詳しくは、動名詞とto不定詞の名詞用法を参照。
- I want to go to the U.S. again.[SVO]
- またアメリカに行きたいな。
- 自動詞goを元に作られた不定詞to go(行くこと)が、副詞句to the U.S.と副詞againによって修飾されている。
to不定詞で表される意味が受動になるときは、<to+be+過去分詞>の形を用いる。
- I don't like to be ordered by my parents.
- 私は親から命令されるのが好きではない。
- 他動詞orderの受動態であるbe orderedを元に作られた不定詞to be ordered(命令されること)が、副詞句by my parentsによって修飾されている。
他動詞helpの場合、目的語には原形不定詞でもto不定詞でもよい。
- Regular exercise helps (to) reduce the risk of obesity.
- 定期的な運動は、肥満の危険性を軽減するのに役立つ。
第5文型(SVOC)のOにto不定詞が来るとき、形式目的語のitを置いてto不定詞全体を文の最後にまわすのが普通である。形式目的語に対して、実際の目的語であるto不定詞を真目的語と呼ぶ。このような形式目的語を用いた構文を形式目的語構文と呼ぶ。
- I found it difficult to finish the task in a day.[SVOC]
- 私は、この課題を1日で終わらせるのは難しいとわかった。
- 他動詞finishを元に作られた不定詞to finish(~を終わらせること)が、the taskを目的語に取り、副詞句in a dayによって修飾されている。
Cになるto不定詞 †
主格補語(SVCのC)として †
- My plan is to build a new house.[SVC]
- 私の計画は、新しい家を建てることだ。
- 他動詞buildを元に作られた不定詞to build(~を建てること)が、a new houseを目的語にとっている。
- To teach is to learn twice.[SVC]
- 教えることは、二度目の学びである。
- 自動詞learnを元に作られた不定詞to learn(学ぶこと)が、副詞twiceによって修飾されている。
- <to不定詞A is to不定詞B>の構造は、「to不定詞Aすると必ずto不定詞Bする」という意味を表す。
主語がdoを含む句や節の場合、Cは原形不定詞でもto不定詞でもどちらでもよい。
- All you have to do is (to) trust yourself.
目的格補語(SVOCのC)として †
目的格補語としての不定詞の用法については、SVO+C(不定詞)で詳しく取り上げる。